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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

「ね、奥さま、おわかりになつたでしよう。わざ/\いらしつていたゞいて、ほんとにすみません。でも、いちど、ほんとのところを見ておいていたゞいた方がいゝかしらと思つて……」

と、送つて出て来た北原ミユキは、顔を伏せながら言つた。康子にばかりでなく、市ノ瀬にも聞かせている言葉らしかつた。

「ミユキさん」

と、康子は、はじめて、彼女をこういう呼び方で呼んで、

「あたしは、なんにも、そのことでは言いたくないの。きよう、こうしてお宅へ伺つたことが、あなたがたのために、よかつたか、どうか、それもわからないわ。でも、そんなことより、なにより、お二人がこれから自由にお会いになれるきつかけをつくつたつていうことで、あたしは、満足よ。あの広い湖の上はあなた方のこれからの世界よ。あたしの役目はもうすんだの。お二人で、どこへでも舟をお着けなさい」

微笑をふくんで言う康子の言葉を、若い二人は、それ/″\の感慨をこめて聞いていた。

やがて、ボートをつないである岸へくると、康子は、そこの茶店のえんをかりて弁当をつかおうと言い、北原ミユキは店のお神さんに頼んで、あり合わせの煮物を運ばせた。