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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

七

ところが、帳場で新聞を読んでいた一人の男が、本局から毎朝郵便車がW町へかよつているから、それに頼めば途中まで運んでもらえるのだが、と言う。

「途中までつて申しますと、あとどれくらい歩けばよろしいんでしよう?」

「さあ、少しもはつきりしたことは知らんが、なにしろ、あつちの方角に違いないから……」

それで、その日はこの旅館に一泊することにし、翌朝、定刻の五時よりもすこし早い目に郵便局の前へ行つてみる。夜はまだ明けきつていない。

荷物を提げた五、六人の男女が、同じく郵便車をあてにして、こゝへ集つていた。なかに、このへんの地理に明るいものがいて、その会社のあるところは、街道から二里もはずれた、一番へんぴな海岸で、道を迷わぬようにせぬと、どこへ行くかわからぬと言うのである。

車はやがて動きだした。

人家がだん/\まばらになり、街道はまつすぐに北に走つていた。

断がいの上から、はるかに水平線がみえはじめる。それは一条の微光にすぎなかつたけれども、しだいに空と海との鮮明な境界となり、空には金色の雲がまばゆくゆらいで、やがて、とてつもなく大きな太陽がじり/\と浮びあがつた。