Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
七
女工募集の広告がいたるところに出ていた。それには年の制限があつた。女給を求むというビラもかゝつていた。まさかと、くすぐつたい微笑がうかぶ。
七
ふと、池内医師のことが頭に浮ぶ。そして、彼が女学校の校医だつたことを思いだす。女学校なら専攻科の免状で傭つてくれないかしらと思う。音楽ならなおいゝ。しかし、そんなうまい話はありつこないと自分を打ちけす。が、ちようど昼の時間なので、池内医院の勝手口から声をかけてみる。
細君が、まああがれというので、しばらく座敷で待つ。
今度のことは池内自身が新聞をみたと言つてわざ/\悔みに来てくれたくらいだのに、細君は、口の中で「このたびは……」と云つたきり、それ以上その問題にはふれようとせず、天気のことゝ、物価のことしか、このしとやかな細君にはかつこうの話題というものがないらしい。
主人が現れる。これも天候の不順なことゝ、薬価の暴騰につれて医者の商売も容易でないことをまくしたてる。
康子はやつとすきをみて話を切り出す。
「なんでもかまいませんの。食べていけさえすればよろしいんですから……。すこし虫のいゝことを申せば、先生のご関係の学校なんかで、まあ、音楽と家政ですけれども、すこし時間をもたせていたゞけるとありがたいですわ。