Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
三
にかけつけて、後事についても何かお力になるべきところだが、目下当地でなれない仕事に手を着けたばかりのところで、一日も目がはなせない事情であり、ほんとにお役に立つ時はもうすこし先のことだと思うので、その時まで待つてほしいこと、が、軍人特有の四角ばつた文章で書きつらねてあつた。
康子は、義弟との対話の合間々々に、この手紙の文面を想い出していた。
三
と、だしぬけに、義弟のくちびるのへんに微笑が浮び、なんとも言えぬ冷やかな調子で、
「この家の内情については、ぼくもよくはわからないんだけれども、兄貴の家というもんは、こりやあ、ぼくにとつて本家なんだから、ねえさんの一存でどうなつてもいゝというわけにはいかんと思うんですがねえ。なんと言つても、モトムは井出家のあととりですし、その点を考えていたゞかなけりやあ――」
康子は、そこで、キッとなつた。この義弟のそういう出方は、意外と言えば意外だが、うしろに母がひかえている以上、嫁の立場を嫁の立場らしくぐつと押えるものがなくてはなるまい。義弟がいまやその役を買つて出たのだと、彼女は気がつく。
「えゝ、それはわかつていますわ。