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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

八

あとで来たまえ。ぼくにもなんか話があるそうだ」

江原の視線をさけながら、彼女は、

「えゝ」

と、低く答えた。そして、ほつとしたように、身づくろいをていねいにしなおすと、すこし遅れてアトリエへはいつて行つた。

井出夫人の張りのあるまぶたが、口元の微笑とともに彼女を待つていた。

「とつぜんで、びつくりなすつたでしよう。でも、どうしても、きようはお目にかゝりたいと思つて……」

「先日はほんとに失礼いたしました。あのまゝお手紙もさしあげないで、どんなにご心配をかけたかと思うと、きようはなんだか、わるくつて、わるくつて……」

「いゝえ、ね、いま江原さんからいろ/\お話を伺つて、どうやら事情がわかつたもんだから……あんとき、ちやんとおつしやればいゝのに……」

「言いそびれましたの、奥さま……。だつて、いろんなお話がたまつてたんですもの。わたし、もう、現在の自分のことを、そんなに考えなくなつてますの。きようとあしたとはなんにも関係がないような気がするんですもの……」

井出夫人は、この自暴自棄にもちかい彼女の言葉を、たゞ笑つて受けながし、江原の方へ向きなおつた――

「どうでしよう。