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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

六

たゞ、一番大事にしていたものがむざんに踏みにじられたという憤りに全身をふるわせ、黙つてその電報をしゆうとにつきつけたのであつた。

六

この話はこの程度で打ち切られた。そして、義弟の三則は、運送屋を呼んで荷ごしらえをさせ、しゆうとの乃婦と義妹の百々子とを連れて神戸へたつた。

あれもこれもという家財道具のさらえかたであつた。夫の身のまわりのものも、おゝかた引出され、井出家に伝わつた品々というようなものは、むろん、洗いざらい運び去られた。

最後に、夫の遺骨と位はいとをどうするかゞ問題になつたが、これも母親の意志どおり持つて行くことになつた。信心気のないひとにお祭りのことはまかしておけないというのであつた。

康子も別にそのことにこだわる気はなかつた。モトムを手もとにおくことができただけでほつとしたくらいである。

たちぎわには、それでも老人はいくぶん言葉をやわらげて、モトムの健康のことなど注意をし、気が向いたらいつでも来て一しよに暮すようにと言つた。

駅への見送りをすまして、歩きなれた野道を子供と二人で帰つて来る途中、彼女は、これで万事うまくいつたと思つた。