Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
十二
この社会に生きる女たちのなかに、自卑と自ちようのなくもがなのポーズをみかけます。けれども、ふとしたおりに、ほんとうに心からうちとけて、女の運命などということを語り合いながら、じつにたのもしい一瞬の表情にぶつかつて、立派だなあ、と感心することがございます。平凡なことばが、どうしてこんなに力強い、美しいひゞきをもつものだろうと、相手の平生を知つているだけに、わたくしは不思議に思われてなりません。
自分のことばかりくだ/\とならべたてましたが、モトムさまは、ちかごろお元気で学校へお通いでしようか。
十二
ちようどこゝまで読んだところで、康子はふと眼をあげた。門を半びらきにした坪庭の外をうろうろしている人の気配がしたからである。
と、彼女の視線をまぶしそうに受けながら、市ノ瀬牧人が、ぬつとはいつて来た。
「よろしいですか、こゝから?」
「えゝ、えゝ、かまいませんとも……」
「こんなもの、珍しくもないが、ちつとばかり手にはいつたで……」
と、彼は、ふろしき包みを縁さきへどさりとおいた。
「まあ、なんでしよう? いたゞいていゝの?」
さつそくなかをのぞくと、リンゴと玉ネギがとりまぜて二十ほどはいつていた。