Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
九
九
「市ノ瀬さん、なにかご用?」
康子の声に応じて、市ノ瀬牧人は、ためらいながら門をはいつて来た。
「お客さまでしよう?」
「かまいませんのよ。主人のふるいお友達で……」
と、双方をそれ/″\に紹介したのち、男同士が口をきくのを彼女は待つていた。どちらも、いつこうに、話をしかけそうにない。そうなると、ちよつと彼女は面白くなつて、わざとしばらく黙つていた。
「ヒデ子、モトム君が帰つてくるまでいるか?」
中園三郎はついに子供を相手にしだした。
「あら、きようはゆつくりなすつていゝんでしよう。家はこの通り広いんですし、ひと晩ふた晩ならかまいませんのよ」
すると、その時、市ノ瀬牧人が手にぶらさげているワラ包みを眼の高さに差しあげながら、
「お客さんでちようどよかつた。こないだたずねた山のおやじさんが、あん時のウサギより肉がやわいだろうつて、さつきこれを届けてくれたで……」
と、言つた。
「へえ、うちへいたゞいていゝの? それは、それは……」
彼女は、縁へたつた。
「皮は、へえだるらしいが、料理は、奥さん、できるかね?」
「カシワみたいなもんでしよう? すこし違うかな」
「いや、ニワトリとは違うね。