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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

五

つまり、すべて未知なるものが君の世界なんだ。その未知の世界こそ、君にとつて、永遠の花園だということを、君は無意識に感じている。君の大胆さはそこからくる……」

尾関昇の雄弁は、酒の気も手伝つているけれども、だん/\熱をおびてくる。

五

「君にとつて、恋愛は、一人の、何某という男の片りんを知ることじやない。男という男の、なし得るすべてを知ることなんだ。つまり、男性の世界が、一切の秘密の幕をひらいて、そこを、君の自由にかつ歩し得る花園にする、というのが、君の念願なのだ。大きな夢だ。しかし、君は、少くとも、ほかの女性には足を踏み入れることをゆるされないわれ/\の世界を、君だけは、いつか苦もなくのぞけるとぼくは信じている。それはなにも、君に男性的なところがあるというような意味じやない。それとは反対に、君こそ、女性のなかの女性だという恵まれた条件においてだ。おい、聞いてるかい? そんなに早く歩くなよ」

彼女は、尾関昇のこんな調子でものを言うのを今まで聞いたことがない。彼は、どんな場合でも、お世辞らしいお世辞は言つたためしはないのである。それにしても、彼女は、この言葉に、彼の真実があらうとは思えなかつた。