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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

六

子供の小遣じやあるまいし、大きな顔がよくできたもんさ」

うしろでドアのあく音がした。

彼は、振り向くと、そこに北原ミユキがしよんぼりと立つていた。

六

二人は、顔を見合つたまゝ、しばらくじつとしていた。

が、市ノ瀬牧人は、やつと口を開いた――

「なあんだ、先生、こゝにいたのか」

すると、北原ミユキもそれに応じた――

「市ノ瀬さん、どうして、あんた、こゝへ……」

次第に、双方はうちとけた表情になり、北原ミユキがまず彼の方へ近づいて行つた。

「いま奥さんから浜島君のこときいたが、えらいことになつたなあ」

と、市ノ瀬牧人は、これも、彼女のそばへ歩み寄つた。

すると、北原ミユキは、いつたん眼を伏せたが、すぐに、その眼をカッと見開くようにして、

「浜島のこと、あんた、どうお思いる? ほんとにそんなわるいことしたとお思いる?」

「そういうことは、こゝで言つてもしようがないさ。問題はもつとべつなところにあるよ。あんたは、信ずべきものを信じ、否定すべきものを否定すればいゝのさ。あんたは、これを自分のことゝして考えるか、浜島君のことゝして考えるか、だ。この二つをはつきり分けろといつたつて無理だろうが、どつちを主として考えるか、だ。