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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

十二

「想像がつかないわ。ヒデ子ちやんをそんなところへ連れてらつしやるなんて、すこし無茶ね」

「そうでしようか。しかし、丈夫に育つてくれさえしたら、面白い女になると思うんですがね」

「丈夫に育てる自信、おありになるの?」

「育つか育たないかです。運を天にまかせるよりほかにありません」

「そんなら、何も言うことないわ。お友達はあるんでしようね」

「まだ、子供は一人もいません。第一、女つ気がないんです。事務所の飯たき婆さんをのぞいては……」

十二

中園三郎のガッシリした肩が大きくゆれ、引きあげた太いまゆの下で、年にしては濁りのない、若者のような眼が、康子の視線を追うようにまつわりついた。

彼女は自分でもわけのわからぬ戦りつを全身に感じ、それをあからさまに楽しむように、まぶたを軽く閉じたり開けたりするしぐさをくりかえしていた。

と、中園は、とつぜん、ため息まじりに、言つた――

「ねえ、奥さん、どうお思いですか、ぼくはやつぱり娘と二人でずつとやつて行つた方がいゝとお思いになりますか?」

彼女は、夢からさめたように、

「え? さあ……」

と答えたまゝ、今度は、ひとみいつぱいに彼を見すえながら、だん/\に首をかしげ、それにつれて、油断のない笑顔をつくつた。