Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

六

というような顔つきをし、百々子は百々子で、こんな熱演をそばで聞くのははじめてのこととて、あによめの気が変になるのではあるまいかと不気味さを感じるほどであつた。

いつの間にかもう別の曲に移つていた。

六

ちようどそのころ、まだ開いている坪庭の門をくゞつて、北原ミユキが姿をあらわした。

勝手がわかつているので、別にためらいもせず、縁側のくつぬぎのところへ来て、ピヤノの音に耳をすます。

――レコードか知ら、と思う。が、それにしてはなま/\しい楽器のねいろだと気がつくと、彼女の胸は急に波うつ。――あら、奥さんが……始めて……と、もうぐず/\はしていられない。はき物をぬぎすて、障子のすき間からのぞいてみる。

――あゝ、やつぱり……。

口の中で思わずそう言つて、茶の間の障子に手をかけ、そつと押しあける。

老夫人の眼がそれを迎える。はいれという合図だ。百々子が顔をあげ、モトムがすわりなおす。

「先生」がそういう風に訪ねて来ることには、近ごろもうなれている一家のものは、別にお客らしいあしらいもせず、老夫人が小声であいさつをするほかは、みな黙つてこたつの仲間入りをさせる。