Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
四
それを厳禁してくれるように江原に頼むのだけれども、江原がそれを言うと、尾関はたゞにや/\笑つていた。
彼女がちよつと出てくるといつて、例の井出夫人を訪ね、そのまゝ三日ほど帰らなかつたのは、そういうことのあつた後である。それ以来、尾関は、江原の仕事の邪魔はしにこなかつたけれども、折さえあれば彼女のあとをつけまわした。
四
「君はちかごろ変にぼくをけむたがつてるようだが、君はいつまでも江原のモデルで通すつもりかい? ぼくは、どうでもいゝんだよ。しかし、君は雑誌社かなんかへ勤めたいつて言つてたじやないか。ぼくも今、仕事の口を探してるんだから、ついでに、君のことも考えてるんだぜ。実はこないだ、江原にこう言つてやつたんだ――君は彼女の影をふんだんにとれ。おれは、彼女の実体をつかんでみせるつて……。その意味、わかる?」
「…………」
「君はしきりに、男の純潔さということを言うね、いつたい、純潔とはなんだい? 女を知らないということかい? 世間には、いくらでも、純潔づらをして、その実、純潔でもなんでもない男がいる。あるいは、自分が偶然童貞であることを純潔のしるしのように思い込んでいるきたならしい男もたくさんいる。