Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
「元気をだすのよ。男のくせにそんな顔してるとヒデちやんに笑われてよ」
彼女はあてもなく、こゝへ来たわけではない。しかし、そうかといつて、たしかなあてがあるわけでもなかつた。もうこれ以上じつとしていられないという、切羽つまつた気持で、どこか遠い、それこそまるでちがつた世界へ飛びこんで行こうという気になり、子供のことを考えると、自分ひとりの身の始末だけではすまず、たま/\中園三郎のことが頭に浮び、いつそのこと、彼のところへ黙つて押しかけて行つてみようと、つい思いたつてしまつたのである。それは、じつさい、ふらふらとそういう気になつたのであつて、彼女自身としては、中園という男のどこかに心ひかれてそうなつたのか、または、彼の現在の生活――話に聞いただけではあるが、いわゆる無人島に流れついたと思えば間違いないというような原始的な風物と、そのなかの荒々しい生活――が、彼女の好奇心をそゝつたのか、そのへんのところはまだはつきりしないのであるが、ともかく、小さな息子の手を引いて、着のみ着のまゝといつてもよい女一人が、いきなりぶつかつて行く場所としては、なにかそこには、さほど無謀とも考えられない条件がそなわつていたのである。