Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
康子は、こういうことをいつまでも続けていてもきりがないと思つた。
彼女を道連れにという夫の要求は、それがどんなつきつめた情愛のしるしだとしても、康子にとつては狂暴にひとしい男のわがまゝにすぎなかつた。
「あたくし、もうどうしていゝかわかりませんわ。自分の力がどんなに弱いかということがよくわかりました。あなたおひとりを残していくのは気がすみませんけれど、あたくし、なんですか、モトムの顔が、もう見たくつて、見たくつて……」
と、強いて自分を引きたてるように、言葉をかさねる。
「あゝ、見に行くがいゝさ。しかし、お前もまだ若いしな。子供が邪魔になつたら、いつでもお母さんにおしつけて、自由行動をとれ。周囲に気がねをして未亡人でくすぶつてしまう必要はない」
彼女は、もうそんな当てつけがましい言葉に耳をかす気はしなかつたが、ふと夫の横顔をのぞくと、眼じりからこめかみへかけて、ひと筋の涙が流れているのに気がついた。
すると、無意識に、彼女は夫のそばへにじり寄つて、自分のハンケチでその涙をそつと拭いてやりながら、
「ほんとに、ごめんなさいね。あたくしたちは、どうしてこう別々なことを考えなけりやならないんでしよう? お苦しいだろうつていうことはよくわかるんですけれど、あなたのそのお苦しみを、しんから自分の苦しみとして苦しめない