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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし、北原ミユキのこの観察はまだ若いのであつて、実を言えば、そういうことを多少意識し、しかもそこに落ちこんでいくわれ/\普通の日本人の心理にも、公平にみて他の民族のそういう場合と違う意識の程度の弱さがある。お互は、自分のそんなところをたなにあげて、他人のあつかましさにまゆをひそめているのが現在の世相であろう。

それはさておき、北原ミユキはろくに口も利かない宿の女主人に軽く「帰りました」を言い、今朝ふかしたサツマイモの残りとホウレン草のみそしるで夕食をすませ、ひざがしらに湿布を巻き、手首にバンソウコウをはり、鏡に向つて髪を結い直そうかどうしようかと考えた。というのは、これから、今日学校で大ぜいにいじめられて泣いて帰つた井出という生徒の家へ顔を出してみようと思いたつていたからである。むろんそれは務めという考えもあるにはあつたが、この生徒の家庭へはわりに気軽に足が向くのである。気軽にと言つては言いすぎかも知れぬ。正確に言うと、おつくうのようでいて、つい心が惹かれ、きゆうくつなところもないではないが、それにもかゝわらず、そこにでなければないふん囲気のようなものが、彼女の要求とぴつたり合うのである。