Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
三
「やよ趙雲。その子の運命は将軍の手にあるものを。妾に心をかけて、手のうちの珠を砕いてたもるな」
云うやいな、みずから井戸の底へ、身を投げてしまった。
趙雲は、声をあげて哭いた。草や墻の板を投げ入れて、井戸をおおい、やがて甲の紐をといて、胸当の下に、しっかと、幼君阿斗のからだを抱きこんだ。
阿斗は、時に、まだ三歳の稚なさであった。
三
阿斗を甲の下に抱いて、趙雲が馬にまたがると、墻の外、附近の草むらなどには早、無数の歩兵が這い寄って、
「この内に、敵方の大将らしいのがいる」
と、農家のまわりをひしひしと取巻いていた。
――が、趙雲は、ほとんど、それを無視しているように、馬の尻に一鞭加え、墻の破れ目から外へ突き出した。
曹洪の配下で晏明という部将がこれへきた先頭であった。晏明はよく三尖両刃の怪剣を使うといわれている。今や趙雲のすがたを目前に見るやいな、それを揮って、
「待てっ」と、挑みかかったが、
「おれをさえぎるものはすべて生命を失うぞ」
と、趙雲の大叱咤に、思わず気もすくんだらしく、あっとたじろぐ刹那、鎗は一閃に晏明を突き殺して、飛電のごとく駆け去っていた。