Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
鳳雛・巣を出ず
一
一
いまの世の孫子呉子は我をおいてはなし――とひそかに自負している曹操である。一片の書簡を見るにも実に緻密冷静だった。蔡和、蔡仲はもとより自分の腹心の者だし、自分の息をかけて呉へ密偵に入れておいたものであるが、疑いないその二人から来た書面に対してすら慎重な検討を怠らず、群臣をあつめて、内容の是非を評議にかけた。
「……蔡兄弟からも、さきに呉へ帰った沢からも、かように申し越してきたが、ちと、はなしが巧過ぎるきらいもある。さて、これへの対策は、どうしたものか」
彼の諮問に答えて、諸大将からもそれぞれ意見が出たが、その中で、例の蒋幹がすすんで云った。
「面を冒して、もう一度おねがい申します。不肖、さきに御命をうけて、呉へ使いし、周瑜を説いて降さんと、種々肝胆をくだきましたが、ことごとく、失敗に終り、なんの功もなく立ち帰り、内心、甚だ羞じておる次第でありますが――いまふたたび一命をなげうつ気で、呉へ渡り、蔡兄弟や※(「門<敢」、第3水準1-93-58)沢の申し越しが、真実か否かを、たしかめて参るならば、いささか前の罪を償うことができるように存じられます。もしまた、今度も何の功も立てずに戻ったら、軍法のお示しを受けるとも決してお恨みには思いません」