Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
呉の情熱
一
とまれ、孔明の家がらというものは、その叔父だった人といい、また現在呉に仕えている長兄の諸葛瑾といい、彼の妻黄氏の実家といい、当時の名門にちがいなかった。しかも、孔明の誠実と真摯な人格だけは、誰にも認められていたので――彼を帷幕に加えた玄徳は――同時に彼のこの大きな背景と、他方重い信用をも、あわせて味方にしたわけである。
遠大なる「天下三分の計」なるものは、もちろん玄徳と孔明のふたりだけが胸に秘している大策で、当初はおもむろに、こうしてその内容の充実をはかりながら、北支・中支のうごき、また、江西・江南の時の流れを、きわめて慎重にながめていたのであった。
呉の情熱
一
眼を転じて、南方を見よう。
呉は、その後、どういう推移と発展をとげていたろうか。
ここ数年を見較べるに――
曹操は、北方攻略という大事業をなしとげている。
玄徳のほうは、それに反して、逆境また逆境だったが、隠忍よく生きる道を見つけては、ついに孔明の出廬をうながし、孔明という人材を得た。
広大な北支の地を占めた曹操の業と、一箇の人物を野から見出した玄徳の収穫と、いずれが大きく、いずれが小さいか、この比較は、その結果を見るまでは、軽々しく即断はできない。