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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme

Aozora Bunko

三

――然らずして、あなたが、天下に呼号し、魏・呉を向うにまわして、鼎立を計る意義がどこにありまするか」

一言のもとに、玄徳は心服して、その蒙を謝し、

「いや、よく分りました。思うに、愚夫玄徳の考えは、事ごとに、大義と小義とを、混同しているところから起るものらしい。豁然と、いま悟られるものがあります」

「総じて、みな人のもっている弱点です。将軍のみではありません」

「ねがわくは、どうか、朝夕帷幕にあって、遠慮なく、この愚夫をお教え下さい」

「いや」と、孔明は、急にことばをかえて云った。

「今日、いささか所信を述べたのは、先頃からの失礼を詫びる寸志のみです。――朝夕お側にいるわけにはゆきません。自分はやはり分を守って、ここに晴耕雨読していたい」

「先生が起たれなければ、ついに漢の天下は絶え果てましょう。ぜひなきこと哉」

と、玄徳は落涙した。

三

至誠は人をうごかさずにおかない。玄徳は天下の為に泣くのであった。その涙は一箇のためや、小さい私情に流したものではない。

「…………」

孔明は、沈思しているふうだったが、やがて唇を開くと、静かに、しかし力づよい語韻でいった。

「いや、お心のほどよく分りました。