Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
白羽扇
一
と、なだめているところへ、折も折、呉主孫権から早馬が来て、総軍みな荊州を捨てて柴桑まで引揚げろ、という軍令であった。
白羽扇
一
荊州、襄陽、南郡三ヵ所の城を一挙に収めて、一躍、持たぬ国から持てる国へと、その面目を一新しかけてきた機運を迎えて、玄徳は、
「ここでよい気になってはならぬ――」と、大いに自分を慎んだ。
「亮先生」
「何ですか」
「労せずして取った物は、また去ることも易しとか。三ヵ所の城は、先生の計一つで、余りにやすやすとわが手に落ちたが、それだけに長久の策を思わねばならんと考えるが」
「ごもっとものお言葉には似ておりますが、決して然らずです。三ヵ所の城が一挙にお手に入ったのも、実にわが君が多年の辛苦から生れたもので、やすやすと転げこんで来たのではありません」
「でも、一戦も交えず、一兵も損せずに、この中央にわが所を得たのは、余りに好運すぎる」
「ご謙遜です。みな君の御徳と、積年の労苦がここに結集したものです。はやい話が、君にその積徳とご努力が過去になかったら、この孔明ひとりでも、今日、お味方の内にはいなかったでしょう」
「では先生、どうかさらに、玄徳が労苦をかさね、徳を積んでゆく長久の計をさずけて欲しい」