Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme

Aozora Bunko

二

二

その日、孫権に召された周善は、張昭にも会って、審さに密計を授けられ、勇躍して、夜のうちに揚子江を出帆した。

五百の兵はみな商人に仕立て、上流へ交易に行く商船に偽装し、船底には武具をかくしていた。

やがて目的地の荊州に着く。

周善は伝手を求めて、首尾よく荊州城の大奥へ入りこんだ。そして多くの賄賂をつかい、ようやく玄徳の夫人に会うことができた。

夫人は、寝耳に水の愕きに打たれ、

「えっ。母公には、明日も知れぬご危篤ですって?」

兄孫権の手紙を読むうちに、もう紅涙潸々、手もわななかせ、顔も象牙彫のように血の色を失ってしまった。

「一刻もお早く、呉へお下りください。せめて息のあるうちに、ひと目なと、お姿を見たいと、御母公におかせられては、苦しき御息のひまにも、夜となく昼となく、うわ言にまで御名を呼んでおられまする」

周善のことばを聞くと、玄徳夫人は、いよいよ身をもんで、

「会いたい、行きたい、周善、どうしようぞ……」と、泣き沈んだ。

ここぞと、周善は、

「翼ある御身なれば、すぐにもご対面はかないましょうが、いかにせん長江の水速しといえども、船旅では幾日もかかります。