Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
三
しかし今度も、弦は空鳴りしただけだった。
ところが、三度目には、ひょうッと矢うなりがして、まさしく一本の矢が飛んできた。そしてその矢は、関羽のの纓を、ぷつんと、見事に射止めていた。
三
関羽も胆を寒うした。黄忠の弓術は、いにしえの養由が、百歩をへだてて柳の葉を射たという――それにも勝るものだと思った。
「さては、きのうのわが情けを、今日の矢で返したものか」
そうさとったので、関羽は、なおさら舌をふるって、その日は兵を退げてしまった。
一方の黄忠は、城中へもどるとすぐ、太守韓玄の前へ理不尽に引っ立てられていた。
韓玄はもってのほかの立腹だ。声を励まして、黄忠を罵り辱めた。
「城主たるわしに眼がないと思っているのか。三日の間、わしは高櫓から合戦を見ていたのだぞ。然るに、きょうの戦は何事だ。射れば関羽を射止め得たのに、汝は、弓の弦ばかり鳴らして、射たと見せかけ、故意に助けたのではないか。言語道断。察するところ、敵と内通しているにちがいない。恩知らずめ。その弓は、やがて主へ向って引こうとするのだろう」
「ああ、ご主君!」
黄忠は、涙をたれながら、なにか絶叫した――。