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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme

Aozora Bunko

三

馬飼というのは、いわゆる馬廻り役の小者であろう。張遼の馬飼と、太史慈の部下戈定とは、その晩、城中の人なき暗がりでささやき合っていた。

「ぬかるな。……丑の刻だぞ」

「心得た。おれが、馬糧小屋をはじめ諸所へ火をつけて廻るから、おめえは、謀叛人だ、裏切者だ、と呶鳴ってまわれ」

「よしよし。おれも一緒になって火をつけながら、呶鳴りちらす」

「火の手と共に、城外から太史慈様が攻めこむことになっている。どさくさまぎれに、西門を内から開くことも忘れるなよ」

「合点合点。忘れるものか。一代の出世の鍵は今夜にありだ」

「……しっ。誰か来た」

ふたりは人の跫音に、あわてて左右にわかれてしまった。

三

守将の張遼は、きのうの城外戦で、大きな戦果をあげたにもかかわらず、まだ部下に恩賞も頒たず、自分も甲の緒すら解いていなかった。

多少、不平の気を帯びた副将や部将たちは、暗に、彼の小心を嗤った。

「敵はきのうの大敗で、すでに遠く陣地を退げてしまったのに、遼将軍にはなぜいつまで、甲も解かず、兵に休息もさせないのですか」

張遼は、答えた。

「勝ったのは、昨日のことで、今日はまだ勝っていない。