Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
二
――で、その夜のごときも、部下を督励したばかりでなく、彼自身も深更まで寝ていなかった。
すると、案の定、夜も四更に近い頃、江上遠く、水寨のあたりで、喊の声がする。
「すわ!」
と、彼と共に、不寝の番をしていた徐晃、張遼の二将が、すぐ本陣から様子を見に駆けだしてみると、呉の船団が、突忽と、夜靄を破って現れ、今し水寨へ迫ってきた――とのことに、張遼、徐晃は驚いて、
「呉軍の夜襲です」
と、あわただしく曹操へ知らせた。
「あわてるに及ばぬ」
かねて期したることと、曹操は自身出馬して、江岸の陣地へ臨み、張遼、徐晃をして、すぐさま各射手三千人の弩弓隊を、三団に作らせ、水上の防寨や望楼に拠らせて一斉に射させた。
二
吠える波と、矢たけびに夜は明けて、濃霧の一方から紅々と旭日の光がさしてきた頃、江上にあった怪船団の影はもう曹操の陣営から見えなくなっていた。
「曹丞相よ、夜来のご好意を感謝する。贈り物の矢はもう充分である。――おさらば!」
孔明は、江を下ってゆく船上から、魏の水寨を振向いていった。
彼を乗せた一艘を先頭として、二十余艘の船は、満身に矢を負って、その矢のごとく下江していた。