Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
四
「先生。あなたは何がおかしくて先刻からそうお笑いなさるのか」
「いや何も提督に対して笑ったわけではありません。余りといえば、魯粛どのが時務にうといので、つい笑いを忍び得なかったのです」
傍らの魯粛は、眼をみはって、
「や、何をもって、この魯粛が時務にくらいと仰っしゃるか。近頃、意を得ないおことばだ」
と、色をなして、共に、孔明の唇をみまもった。
孔明はいった。
「でも、考えてもご覧なさい。曹操が兵を用いる巧みさは、古の孫子呉子にも勝りましょう。誰が何といったところで、当今、彼に匹敵するものはありません。――ただ独りわが主君劉予州は、大義あって、私意なく、その強敵と雌雄を争い、いま流亡して江夏に籠っておりますが、将来のことはまだ未知数です。――然るに、ひるがえって、この国の諸大将を見るに、どれもこれも一身一家の安穏にのみとらわれていて、名を恥じず、大義を知らず、国の滅亡も、ほとんど成り行きにまかせているとしか観られない。……そういう呉将の中にあって、粛兄ただ一名のみ、呶々、烈々、主義を主張してやまず、今も提督にむかって、無駄口をくり返しておらるるから、ついおかしくなったまでのことです」