Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
「むかし許田の御狩に会し、それがしが曹操を刺し殺そうとしたのを、あの時、あなた様が強ってお止めにならなければ、今日、こんな難儀にはお会いなさるまいものを」
と、彼らしくもない愚痴をこぼすのを、玄徳はなだめて、
「いや、あの時は、天下のために、乱を醸すまいと思い、また曹操の人物を惜しんで止めたのだが――もし天が正しきを助けるものなら、いつか一度は自分の志もつらぬく時節がくるだろう」
と、いった。
するとその時、江上一面に、喊の声や鼓の音が起って、河波をあげながらそれは徐々に近づいてくる様子だった。
「さては、敵の水軍」と玄徳も色を失い、関羽もあわてて、船のみよしに立って見た。
見れば彼方から蟻のような船列が順風に帆を張って来る。先頭の一艘はわけても巨大である。程なく近々と白波をわけて進んでくるのを見ると、その船上には、白い戦袍へ銀の甲鎧を扮装ったすがすがしい若武者が立っていて、しきりと此方へ向って手を打ち振っている。
「叔父、叔父。ご無事ですか。さきにお別れしたきり小姪の疎遠、その罪まことに軽くありません。ただ今、お目にかかってお詫び申すつもりです」
彼の声もやがて聞えてきた。