Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
四
一座やや白けたかと見えた時である。突として立った者がある。会稽郡余姚の人、虞翻、字は仲翔であった。
「率直にお訊ねするの不遜をおゆるしありたい。いま曹操の軍勢百万雄将千員、天下を一呑みにせんが如き猛威をふるっておるが、先生には何の対策かある。乞う、吾々のために聴かせ給え」
「百万とは号すが、実数は七、八十万というところでしょう。それも袁紹を攻めては、その北兵を編入し、荊州をあわせては、劉表の旧臣を寄せたもの、いわゆる烏合の勢です。何怖れるほどなものがありましょう」
「あははは。いわれたりな孔明先生。あなたは新野を自燼し、当陽に惨敗し、危うく虎口をのがれたばかりではないか。その口で、曹操如きは怖るるに足らんというのは、ちとおかしい。耳をおおうて鈴を盗むの類だ」
「いや、わが劉予州の君に従う者は、少数ながら、ことごとく仁義の兵です。何ぞ、曹操が残暴きわまる大敵に当って、自ら珠を砕くの愚をしましょう。――これを呉に較べてみれば、呉は富強にして山川沃地広く、兵馬は逞しく、長江の守りは嶮。然るにです、その国政にたずさわる諸卿らは、一身の安きを思うて国恥を念とせず、ご主君をして、曹賊の軍門に膝を屈せしめようとしておられるではないか。