Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
「それ故に、てまえの立場は、非常に困っております。私は孔明の兄だとみられておりますから。――で、実は、わざと商議にも関わらず、心ならずも局外に立って、この紛論をながめているわけです」
「それは、どうかと思うな」と周瑜は唇もとをゆがめて、
「ご辺の立場は分るが、兄であるとか弟であるとか、そんなことは私事だ。家庭の問題とはちがう。孔明はすでに他国の臣。ご辺は呉の重臣。おのずから事理明白ではないか。呉臣として、貴公の信ずるところは、戦いにあるのか降伏にあるのか」
瑾は、沈黙していたが、
「降参は安く、戦は危うし。呉の安全を考えるときは、戦わぬに限ると思います」
と、やがて答えた。
周瑜はゆがめていた唇もとから一笑を放って、
「では、弟の孔明とは、反対なお考えだな。なるほどご苦衷だろう。――ともあれ大事一決の議は、明日、それがしが君前に伺った後にする。今日は帰り給え」
かくてまた、夜に入ると、呂蒙だの、甘寧だのという名だたる将軍や文官たちが、入れ代り立ちかわり、ここの門へ入ってはたちまち出て行った。それは実におびただしい往来だった。
三
夜が更けても、客の来訪はやまない。