Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
病室へ入って見ると、周瑜はなお衣衾にふかくつつまれて横臥呻吟している。――孔明は、彼の枕辺へ寄って、小声に見舞った。
「いかがですか、ご気分は」
すると周瑜は、瞼をひらいて、渇いた口からようやく答えた。
「オオ、亮先生か……」
「都督。しっかりして下さい」
「いかんせん、身をうごかすと、頭は昏乱し、薬を摂れば、嘔気がつきあげてくるし……」
「何がご不安なのです。わたくしの見るところでは、貴体に何の異状も見られませんが」
「不安。……不安などは、何もない」
「然らば、即時に、起てるわけです。起ってごらんなさい」
「いや、枕から頭を上げても、すぐ眼まいがする」
「それが心病というものです。ただ心理です。ごらんなさい天体を。日々曇り日々晴れ、朝夕不測の風雲をくりかえしているではありませんか。しかも風暴るるといえ、天体そのものが病み煩っているわけではない。現象です、気晴るるときはたちまち真を現すでしょう」
「……ウムム」
病人は呻きながら襟を噛み、眼をふさいでいた。孔明はわざと打ち笑って、
「こころ平らに、気順なるときは、一呼一吸のうちに、病雲は貴体を去ってゆきましょう。それ、さらに病の根を抜こうとするには、やや涼剤を用いる必要もありますが」