Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
三
三
玄徳の態度は実に堂々としていた。温和にして諂わず、威にして猛からず、儀表俗を出て、清風の流るるごとく、甘露寺の方丈へ通った。
「さすがは」と、一見して、呉侯孫権も、畏敬の念を、禁じ得なかった。
争えないものは、人間と人間との接触による相互の感情である。ひと目見て、孫権以上、彼に傾倒したのは母公であった。
その喜悦のいろをうかがうと、喬国老は、母公へささやいた。
「どうです。人物でしょう。こんなよい婿が求めたってありましょうか」
母公はただもうほくほく慶びぬいている。孫権はわれとわが心を圧しつぶして、玄徳に対して起る尊敬や畏れを強いて戒めていた。
「さあ、くつろぎましょう。婿君よ、威儀いかめしいものの、内輪ばかりじゃ、心おきなく杯をあげられい。喬老、そなたも、佳賓におすすめ申しあげて賜も」
母公のご機嫌は一通りでない。きのうの彼女とは人がちがうようだった。やがて大宴となる。呉海呉山の珍味は玉碗銀盤に盛られ、南国の芳醇は紅酒、青酒、瑪瑙酒など七つの杯に七種つがれた。
喨々たる奏楽は満堂の酔をしてさらに色に誘った。母公はふと、玄徳のうしろに屹立している武将に眼をそそいで、