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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme

Aozora Bunko

この時、孔明は、童子を呼んで、

「書庫にあるあの大きな軸を持ってきて、ご覧に入れよ」と、命じた。

やがて童子は、自分の背丈よりも長い一軸を抱えてきて、壁へかけた。

西蜀五十四州の地図である。

それを指して、

「どうです、天地の大は」

と、孔明は世上に血まなことなっている人々の、瞳孔の小ささをわらった。

――が、玄徳は、ここに唯ひとつのためらいを抱いた。それは、

「荊州の劉表といい、益州の劉璋といい、いずれも、自分と同じ漢室の宗親ですから、その国を奪うにしのびません。いわゆる同族相せめぐの誹りも、まぬがれますまい」という点であった。

孔明の答は、それに対して、すこぶる明確なものだった。

「ご心配には及びません」と、彼は断じるのである。

「劉表の寿命は、早晩、おのずからつきるでしょう。かれの病はかなり篤いと、襄陽のさる医家から、耳にしています。痼疾がなくても、すでに年齢が年齢ではありませんか。その子たちは、これまた、いうに足りません。一方、益州の劉璋は、なお健在なりとはいえ、その国政のみだれ、人民の苦しみ、誰か、それを正すを、仁義なしといいましょう。むしろ、そういう塗炭の苦しみを除いて、民土に福利と希望を与えてやるこそ、将軍のご使命ではありませんか。