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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「詔とあれば、行かなければなるまい」

馬騰は一門の者に別れを告げて都へ上った。三人の子息は国に残し、甥の馬岱を連れて行った。

許都に来て、まず曹操に会い、荊州討伐の任をうけ、次の日朝廷に上って、天子を拝した。

命は、曹操から出ても、名は勅命である。曹操の意志は決して、天子の御心ではなかった。

「このたびは老骨に、荊州討伐の大命を仰せつけられて……」と、馬騰が拝命のお礼を伏奏すると、帝は無言のまま彼を伴って、麒麟閣へ登って行かれた。

そして誰もいない所で、帝は初めて口を開かれ、

「汝の祖先馬援は、青史にものこっている程な忠臣であった。汝も、その祖先を辱めることはあるまい。――思え。玄徳は漢室の宗親である。漢朝の逆臣とは、彼にあらず、曹操こそそれだ。曹操こそ朕を苦しめ、漢室を晦うしている大逆である。馬騰! そちの兵はそのいずれを伐ちにきたのか」

二

帝の御目には、涙があふれかけていた。

恐懼して、ひれ伏したまま、馬騰は御胸のうちを痛察した。

ああ、朝廷のこの式微。

見ずや、許都の府は栄え、曹操の威は振い、かの銅雀台の春の遊びなど、世の耳目を羨ますほどのものは聞くが、ここ漢朝の宮廷はさながら百年の氷室のようだ。