Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「アッー」
と叫んで斜めによろめいたところを天の如き河内房の強力で、新九郎の小手を強かに打ち込んだ。
「参った」
と新九郎の無念の声。河内房は耳に触れぬ振りをして、続けざまにピシャリッピシャリッと五、六本続けて打ち込んだので、新九郎はと仰向けにたおれてしまった。
「こりゃ理不尽な……」
と刎ね起きた新九郎の額には、無慚な血潮が滲んでいた。
「何が理不尽、それゆえ前もって当流の掟は申し聞かせてある。未熟な腕前で他流試合を望みなど致すから、かような目にも会うのだ! 馬鹿めッ」
と河内房が続けて栴檀刀をもって擲りかけて来たので、新九郎はむッと引っ掴んで、
「己れッ無礼な!」
と蒼ざめた顔色に髪を乱して睨みつけた。
「やあ河内房、痩せ侍の吠え面見るも笑止、引ッ掴んで表へ抓み出してしまえ」
と大円房は憎態な嘲笑を泛かべながら下知した。と、ばらばらと立ち上がった柿山伏の門輩どもは、一人の新九郎の手を取り足をすくって玄関口より引き摺りだして、
「ざまを見ろッ、いい笑われ者だ」
と思う存分の罵詈悪口をかぶせて、どんと門外へ突き出してしまった。
九
春日新九郎はしばらく無念のあまり、倒れたまま、はッたと大円房の門を睨みすえた。