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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

「おめえたちの方は?」

と伝吉は逆手に出る。

「わっしどもは、どうせ素なしの旅ですから、旅籠銭助けに、歩く心算でごぜえます。とても親分方と、おつき合い申す訳にはめえりません」

「じゃ、俺もぶらぶら歩くとしよう。夏の夜旅というやつも洒落たものだ」

「へ、でも……」

と仁三と久六と、ちょっと厭な目交ぜをしたが、伝吉は涼しい顔で、折から明るみかけた月を後ろに澄まして行く。

すると、とある森蔭の辻堂の縁に、なにかガヤガヤ喚きながら、街道を見ていた五、六人の影――いち早く仁三の姿を見ると、バラバラと駈け寄ってきた。

「おッ仁三兄いじゃねえか。どうしたんだ」

「約束の時刻に来ねえので、どんなに番狂いしたか知れやしねえ。おや久六、なぜ駕を持って来ねえんだ。ちぇッ、どこまでドジに出来てやがる」

と、のッけから、散々に我鳴り立てるので、独鈷の仁三が、しきりにせした効もなかった。

「そっちの来るのが遅いために、船から玉を上げていると、この先の河原で、飛んだ無茶な侍が邪魔に入ってしまったじゃねえか」

「グズグズしていると、また、そいつが、ここへ追ッかけて来るところだ。それにしても、駕の用意をして来ねえなんて頓馬があるものか」