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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

が仇持ちの心理はまた別なものに相違ない。幾ら自己の腕に自信があり、当の対手が婦女幼少の輩であろうと、生涯、影を追って尾け狙われているということは、誰にしても耐えられない不安、たまらない不快に違いない。

大月玄蕃ほどの者が、前には大草額平を騙って碓氷峠に彼を擁し、その失敗にも懲りず、再びここで二人を絶ってしまおうとする焦り方は、たしかに前の気持に近いものである。

してみると、仇討というものは――

仇を討たんとして、怨霊のごとく、狙けまわしている間が、切実なる復讐の間で、斃して、仇の喉三寸に刺刀を貫くことは、仇の罪業をゆるし、同時に彼を救ってやることになる。

それはさておき、翌晩一人の駕屋が手ぶらで網屋へ入り、奥にいる玄蕃に会って、夕方から二人連れの虚無僧が、小淵の不動院を出てこの宿へ向って来ると告げて行った。

これは前もって、玄蕃が駕かきに金を握らせて置いたものであるらしい。不動院からはこの宿までの間には、一軒の宿屋もない筈、従って、いやでも夜道をかけて来なければなるまい。彼は密かに陰険な悦を洩らして、投げ槍小六と金井一角の両助太刀を誘い出し、かねて足場まで見ておいた柳堤に身を隠した。