Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「おかしいじゃねえか。今日もまる半日、足を摺古木にして尋ねまわったが、兄哥の行方は皆目知れねえ、ただ例の紀州屋敷」
「む、あすこは新九郎さんがよく顔を出す定賭場だ。そこでなにか噂を聞かなかったか」
「五日ほど前の晩に、浅草笊組にいるお延という女と一足違いに、慌てて帰ったという話だけ聞いたが、その後はてんで、顔を見た者もねえということだ」
「すると兄哥は、この寮のあんな美いお方に想われながら、まだ他に女を拵えているのかしら」
「よもやとは思うが、元の春日新九郎たあまるで人間が変ってしまった兄哥のことだから……俺にもそいつばかりは保証ができねえ」
「今日もチラと侍女に様子を聞くと、御方さまも、ここ四、五日新九郎さんが帰らねえため、ひどく嫉妬を起して不機嫌だそうだ。そう聞くと、こっちは廂を借りている居候。何だか気がひけて人寄せもできやしねえ」
「そりゃいいとしても、明後日立つ約束になっている、秩父の交際はどうしたものだろう。行かねえなら行かねえように、寄居の親分や秩父の身内へ、断り状を出さなければなるめえが……」
と、二人は途方に暮れていた。
「今晩は、今晩は――」