Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

「もう、もう何も仰っしゃって下さりますな」

「おお……そなたはどこまで因果者であろう、弟のような者に、縁を結んだばかりに、四年越しのこの艱難、その実も結ばず花も咲かず、鼠木綿の襟垢に、女子の妙齢をこの流転……、千浪殿、千浪どの、弟に代って重蔵が、こ、この通りお詫びいたしますぞ」

「滅相もない、何もかも運命でござります、そのうちには新九郎様とても、きっとお眼が醒めましょうに」

「――と、思いたいは骨肉の情でもあるが、あの態では、再び真面目な武士に立ちかえれも致すまい……」

と言いかけて、重蔵は俄かに足の関節を押さえながら、歯を食いしばって、

「あ痛、あつつつつ……」

「お! 余りご無理を遊ばしたので、またお足が痛んで参りましたか、ちょっとお待ちなされませ、今すぐ薬を塗りかえて差しあげまする」

千浪が彼の繃帯を直している間に、さっき二人に提灯を貸して、その間しばらく、どこかへ行っていた茶店の亭主が戻ってきた。

薄々、今の様子を見ていたか、茶店の亭主は親切に力づけて、二人を下谷地蔵長屋の自分の家へ連れてきた。

そして、思いがけなく、二人はそこに幾日かの雨露を凌がして貰った。