Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
拙者は不具……残念ながら覚束ない……そちが今の兄の切ッ尖を受ければ既にこの世の者ではないのじゃ。死を賭してかかれば、たとえ鐘巻自斎に如何ような神技があろうと勝てぬという筈はあるまい。ましてや、お前にはまだまだ光の出きらない天稟がある。それが惜しい……それが女や酒のために曇っているのが惜しゅうて殺されぬ。兄の血潮でその曇りを拭いてくれ、いいか、いいか、臨終のきわに一言誓いを立ててくれ……」
「…………」
「新九郎、返辞はできぬのか――兄を犬死させる気か」
「兄上ッ」新九郎は男泣きにかぶりついて、
「致します、きッと致しまする」
「うむ! ……」満足らしく微笑した重蔵は、脇腹の血刀を抜いて、吾と吾が喉へ持って来ながら、
「それでこそ私の弟、あの世で楽しみにしておるぞ」
「必らずご覧下さいまし。今日という今日、新九郎の永い迷夢も醒め果てました」
「オオ……皆様、おさらばでござる」
がくり俯伏した時には、もう喉笛を見事に切って、春日重蔵はまったく息が絶えていた。抱き起して死骸を検めた家中の侍は、その懐から一通の遺書を見つけて忠房の前へ出した。
白扇を開いて、涙の顔を隠していた忠房、それを取って読み下すと、新九郎が今日までの行状の事実、それを危ぶんでいた罪の詫び、千浪が後事などがあらましに認めてあった。