Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
彼はそのために非常な煩悶を続けたが、どうしても会得の曙光を仰ぐことが出来ないので、彼は断乎と播州船坂山の住居を閉じ、未だいずこにか生きておわすと信じて疑わない、師の富田勢源を尋ねあてて教えを乞うべく、大願の武者修行にさすらいはじめたのである。
その大願のある自斎には、桔梗河原の功名などは、ほんの旅情の慰さめに過ぎないのであった。ただ彼は前に云った一つの剣法の疑問をどうかして会得したい為に、旅の道々にも努めて他流試合を試み、諸流派の秘訣を窺って見ることに心懸けているので、春日重蔵との試合も単にそれだけの心で引き受けたのである。ところが、重蔵に必死の気愾と、侮りがたい腕があったため、思わぬ烈剣を放した結果、彼の片足を打ち折ってしまった。自斎は後になって、あたら有為の青年剣客者を、不具者にした無謀を非常に後悔した。――彼は今、急がぬ旅の足を福知山へ向け、一言重蔵の容体を慰さめようと思い立って、この街道へ現われたのであった。
その途中の茶屋で、自斎はしばらく足を憩めている。――と、ここへ来るまで後をつき纏って来た先刻の馬子が、自斎をじろじろ見ながら、何か亭主と囁いていたが、手綱を傍らの樹にクルクルと捲いて、一散走りにどこともなく駈け出して行った。