Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「どうして貴方はこれへお出でござりました」
「いや、それよりそなたこそ、どうして拙者につれなく召さる。いつかのお言葉、ありゃ反古か」
と痛いほど、握った手を強く振りながら云った。
「にわかに打って変ったこの頃の素振りはどうしたもの? さ、それ聞きに参ったのじゃ」
「…………」
「言葉もないのは変心致されたな!」
と声のあとから熱い息が弾んだ。明るい所であったら、その眼も怖ろしく血走っていたろう。
「…………」
「なぜ拙者にばかり物云わすのじゃ――ああ騙された、愚かな男はそなたに騙されていたのじゃ。――淫婦! 淫婦め」
と激した新九郎が、とんと胸をついたので、千浪は、よろよろと倒れるなり、ワッと声をあげて泣いてしまった。
「何を泣く? ても白々しい……」
「し、新九郎様ッ――あなたはお情けないお方でござりますのう」
と、千浪は胸の底から衝き上げるような声で、
「お手紙をお返しせぬのも、お目にかからぬようにしている辛さも、唯々お身のお為を思う私の一念でござりますものを……淫婦の、騙されたのとは、あ、あんまりな、お言葉でござりまする……」
「こりゃ異なこと、何が、それが拙者の為じゃ」