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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

如意輪寺裏の梅月夜に、敢えなく見遁した大月玄蕃じゃ」

「えッ」

「これッ、今宵は、金輪際逃がさぬぞ、元と違って、今の玄蕃は、三界流浪の浪人、腕ずくでもそちを連れて他国へ走り、想いを遂げる覚悟で先頃からつけていたのじゃ!」

「ええ聞くもけがれ! この千浪には、春日新九郎という誓ったお方がありますわいの」

「おおよい良人を選ばれた。兄重蔵を不具にされても、仕返しも出来ぬ腰抜け武士、丹波丹後に評判な臆病侍の新九郎がそちの良人か――あはッははははは」

今まで石のようになっていた新九郎は、この大月玄蕃の面罵を受けて、かつてない反抗的な血がじくじくと骨の髄から吹き出して来るのを覚えた。その血潮は、ふだんの柔弱を滅却して、敢然と、彼の気愾を立派に叩き直した。

玄蕃は飽くまで憎面に睥睨している。

「そんな男に心中立てするより、死にたいという新九郎は、一人で勝手に死なしてやるがいい。千浪、そちには身共が用がある、くだらぬ命をむざむざ捨てさす訳には行かぬぞ」

「慮外な言葉、誰がお身如きにこの身の指図を受けようぞ! 死んでも悪魔の妻にはならぬ」

「それは女の月並文句、強い男の腕で抱きしめられたら、もう羽翼の力も抜けて、今の言葉は忘れるだろう。