Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「偉い!」と彼は呻くような感嘆の声を上げて、
「お藤、それから、野郎どもも、まあここへ来てこの手紙を読んで見ろ!」
と伝吉は一人の讃嘆では物足らずに、一同を呼び集めた。
「どうだ、男はこう来なくっちゃ本物じゃねえ。新九郎さんは武者修行に出たんだ。たとえ五年が十年でも、鐘巻自斎を一本打ち込まねば、胆を舐めても修行を続けると書いてある。見上げた者だ、恐れ入った」
と、彼はひそかに、前から乾分たちに新九郎は見込みがあると云った先見の誇りを感じた。そしてにわかに出支度して、
「お藤、俺あすぐ手紙を持って正木様と重蔵様お二人を欣ばせて来るから――」
と雀躍りせんばかりに福知山の城下へ急いだ。
真ッ先に柳端の春日重蔵の道場へ来てみると、意外にも空家になっている。隣家で訊ねると、重蔵は武芸者として再起の望みのない体を悲嘆の余りと、弟新九郎の噂に対する申訳に、剃髪して如意輪寺の沙門となってしまったということであった。伝吉は止むなく、その足で正木作左衛門の屋敷へ行き、庭先へ廻された。
「おお伝吉か、先頃は千浪の不始末、其方にもいろいろ手数を煩わしたの」
と縁先へ出て会った作左衛門は、おそろしく窶れていた。