Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
その奥に緑青を吹いた銅瓦の館が、後ろに聳え立つ神斧山の岩石に切組んで建ち、あたかも堅固な城廓の態をなして、見る者の眼を愕かせている。
「開けてくれ、洞門の権右衛門が二人を生捕って来た」
とその鉄門の扉を叩くと、中からギーと開けて、棒を持った番人がいちいち人数人相をあらためた上一同を入れて再びギーと閉めてしまった。
戸川志摩は心のうちで、「ああこの要害ではとても代官や領主の力ぐらいで殲滅することは思いもよらぬ怖るべき一族だ……」と密かに舌を巻いている。
「ご苦労だった。汝等ああっちで休んでいいから、仙太と五介は縄尻を持て」
と権右衛門はそこで多勢の者を退け、自分が先に立って奥庭と覚しき所へ廻って来ると、とある橋廊下の上から、
「おや……」
と思いがけない優しい声がしたので、その下へ来た新九郎と志摩は、何気なく振り仰ぐと、洗い髪に大絞りの浴衣を着て、西施を粋にしたような年増の阿娜女が、姿とはやや不調和な、塗りの勾欄に身をもたせて、不思議そうに美しい眼をみはっていた。
「権右、何だい、その人たちは? ……」
「あ、こりゃ姐御でしたかえ」と洞門の権右衛門はちょっと足を止めて、