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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

おゝぜいの客のなかで酒くせも悪い方ではなく、友人だというこの正木と連れだつて来ることもあるが、むしろ一人でぽつねんとしていることの方が多く、彼女を相手に、多少虚無的な、しかしほどよく詩的な調子をまじえた人生論などする男であつた。

筒井レイ子は、その尾関が入院しているということを彼女に伝えると、もう、いびきをかきはじめた。おそらく、そこにいる正木から聞いたのであろうが、どんな容態なのか、気にならぬではない。あすの朝ははつきりしたことがわかるであろう。そう思うと、この男が今夜舞いこんで来たことも、まんざらではないことになる。

部屋を明るいまゝにしておいたのは、北原ミユキのはからいであつた。たゞその方がいゝような気がした。しかし、夜はもう明けかけている。港では、カマをたきはじめた船もあるらしく、機関の音がそここゝでする。

彼女は、それからうと/\とした。

眼をさましたのは、街が騒がしくなつてからで、筒井レイ子はまだぐつすりと眠り、正木のすがたはもう見えなかつた。

昼近く、いつものことではあるが、二人は化粧をすまして町の食堂へ出かけた。

「ゆうべはどうやつた? よう眠れなんだやろ」