Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
五
と、筒井レイ子は笑いながら言つた。酔つているときとうつて変つた、しんみりした調子でものを言う女であつた。
「ところが、案外よく眠れたわ。でも、あゝいうこと、もうしつこなしよ」
「うちの好き勝手にしたんやないもの。それわかつてもらわんと困るわ。あんた、男いうものどない思てんの? こちらしだいで言うまゝになるもんよ」
「あんたなら、そうかもしれないわ」
と、北原ミユキは、投げ出すように言つた。
すると、筒井レイ子は、もうその話はどうでもいゝというふうで、
「オーさん入院したいうのに見舞にいかんの」
五
北原ミユキは、尾関が病気をしているのだということをおもいだした。しかし、病院がどこなのかもわからず、見舞にいくなどということは夢にも考えていなかつた。だから、相手の言葉にはろくに返事もしないでいたところ、その晩、例の正木がまたぶらりとやつて来て、
「尾関からのことずけをすつかり忘れてたよ。なんでも急に話したいことがあるんだそうだ。直接でなけりやだめなんだとさ」
と、あたりはゞからず言うのを、彼女は、
「そう、どうもありがとう。でも、入院してらつしやるんでしよう? ご病気はどんなふうなの」