Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
しかし、おれはどういう意味でも、純潔とは言えない、と告白する男を、君はどう思う? 純潔ではないが、純潔ならざることを心から悔いている男が、こゝにいるとする。どう思う?」
「…………」
「返事をしてくれよ、返事を……」
「あなたは、いつたい、なにを言いたいの? あたしに、なにを要求なさるの?」
彼女は、冷たく言つた。
「君の実体をだよ。絵にも彫刻にもならないものをだよ」
「どういう資格で、そんなもの要求なさるの?」
「なに? 資格? 驚いたね。たゞ、男性の資格においてだよ。うそいつわりのない男の資格においてさ」
「…………」
「それじや、まずいかね? 君はいつか、男とはなにか、を、知らなければならん。君は、あの、井出夫人などとは違う。君がいくら崇拝したつて、ありや、そのへんにざらにいる、既成の、ちよつと気のきいた家庭婦人にすぎん。君こそは、新しい世代をみごとに典型化し得る女性だ。そういう素質を、ぼくは、君のすべてに認める。井出夫人は、自分の世界を守ることによつて、なるほどある種の美しさを発揮している。君には、年の若さということゝは別に、君自身の世界というものはない。