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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

八

池内和昌が、むつつりした風ぼうに似合わずなか/\雄弁に応じた。多分、最近I市で催された青年文化講座で、だれかの音楽論を聞きかじつて来たに相違ない。

すると、今まで腕ぐみをしてじつと眼をつぶつていた市ノ瀬牧人が――

「うむ、そういや、軍楽隊の奴らは、男でもぱつとしたなりをしとるでなあ」

この男は、いつたい何者だろうと、康子は、それまで別に気にもとめずにいた未知の若者に視線を注いだ。

いわゆる農村のにおいをそれほど身につけず、そうかといつて、都会育ちのインテリというひ弱さもなく、どこかガムシャラな一面と、知的なひらめきとを併せそなえた、わりに複雑な印象を与える男である。太いまゆを忙しく動かして物を言う癖は、自信の強さと、はにかみやであることを証明している。

「和昌さん、どなた、この方?」

と、そこで康子は当家のせがれにたずねるよりほかなかつた。

「戦死した兄貴のお友達で、市ノ瀬牧人さん、今日はお線香あげに寄つてくれただ」

八

「どうかよろしく。お前、はよう紹介してくんでいかんわ」

と、市ノ瀬牧人は、頭を抱えながら、傍らへつぶやく。

「和昌君の兄貴の親友でもあり、北原先生の許嫁の悪友でもあります。