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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

ミユキは、小生の伴りよとしては、たしかに得がたい女性だと信じます。それにしても、それだけでは満足できない小生の願望をなんと申したらよいでしよう。性卑しくして比類なきものを識つた罪とでも申しましようか。赤石には、もう薄雪が見えます。稲も実のりました。小生がベンベンとこの土地にとどまつていることを、いつかおわらいになりましたが、風雲は、この小さな天地の間から起らぬとも限りません。余計なことは申しますまい。奥様とモトム君の将来に幸の来ることを祈ります。

読み終つて、井出康子は、妙にいらだたしい気持になつた。あの純ぼくな青年にこういう手紙を書かせた自分という女は、いつたいどんな女なのか、と、彼女は、しばらく途方に暮れるおもいであつた。

が、それから彼女は、気をとりなおして、北原ミユキの手紙の続きをよんだ。

――すべては夢のような気がいたします。自分で自分を縛るとか、自分で自分がよくわからぬ、とかいう意味をはつきり教えられました。男らしい男の大きなふところに抱かれることは、女にとつてこのうえもない仕合せだと、しみ/″\感じております。愛し合うことは、愛し合つているつもりでいるのとは、たいへんな違いだということも、はじめてわかりました。