Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
一徳は言葉をついだ――
「そうだろう? はじめて剣をつつたのが、十四の年だ。幼年学校の五年、士官候補生を三年、これはおれの少年期の最後と青年期の大部分をあげて、ひたすら偉大なる武人という夢を追つた時代だ。隊附の一年は、満々たる自信と華やかな野望の年さ。砲工学校は、おれに二つの道を自由に選ばせた。おれは、くじを引くようにその一つを選んだ。員外学生として東京帝大の工学部に籍をおいた三年間は、おれを特殊な科学者、つまり、兵器の研究を専門とする技術将校に仕上げる期間だつた。うん、そう/\、その当時だ、名和さんがお前という女をおれに押しつけたのは……」
康子のまゆがぴり/\ッと動く。
「おれは、人生の幸福がそこにもあるということを、お前によつてたしかに知らされはしたが……知らされはしたが、しかし、その幸福は、おれの目ざしているものとどういう関係があつたか? たしか、おれはお前をもらうについて、こういうふうに念をおしたはずだ――軍人の家へ嫁ぐ女の覚悟はできているだろうな。軍人は自分の意志が自分の意志ではなく、自分のからだも自分のからだではないのだ、という意味のことだつた。